7月に開催された3回の行財政検討会。9月までに議長宛答申をまとめることになっていますが、日本共産党は財政健全化プログラム試案の撤回を要求。各会派の意見はまとまりそうにありません。8月以降に会長の答申案が示されます。
行財政改革検討会で野村県議が主張
7月27日、財政健全化の「とちぎ未来開拓プログラム・試案」を検討する県議会の「行財政改革検討会」(第3回)が開催され、各会派が意見を持ち寄り協議しました。
4年間で370億円の財政削減目標をかかげる試案に対し、日本共産党の野村せつ子県議は、教育・福祉などの県民サービスは維持しつつ、ダムや高規格道路は中止、箱物建設は新規に限らず凍結・延期し、「ゆるやかな長期計画でソフトランディングをめざせ」と意見をのべました。また試案が行政経費削減のためとして市町村や民間への県単上乗せ補助金の廃止・削減を打ち出した問題で、「一方的な線引きは市町村・民間との協働をこわす。県の補完機能を発揮しつつ市町村、民間とのあるべき関係を構築していくべき」と指摘。職員給与5%カットを柱とする内部努力について、一律カットはやめ、『ふるさと納税』への協力を呼びかけるとともに行政委員の報酬を日当制にする、県議会の公務諸費、政務調査費削減を提案しました。自民党、公明党は原案を一部補充し実施するよう求めました。民主党は10年計画への変更などを求めました。
野村県議の質問で明らかに…次期総合計画に「道州制」
7月14日開催の「行財政改革検討会」(第2回)は午前中、経営管理部長、総合政策部長など執行部の出席を求め質疑しました。野村せつ子委員は「財政健全化プログラムに示された行政経費削減のための『基本的考え方』は、歳出削減に止まらず県の役割まで削ろうというもの。福田知事は道州制推進の立場だが、道州制へ進むことを前提にしたプログラムではないか」とただしました。答弁した総合政策部長は「基本的考え方は現総合計画でも示してきた」と従来の路線と変わらないとの認識を示しました。しかし、「新たな公をひらく」として「民間に出来ることは民間で」「基本的サービスは市町村で」ということが、具体的には市町村・民間への「県単上乗せ補助金の廃止」だと思っていた県民はいません。総合政策部長は「具体的な形で示したのは試案が初めて」と認めました。また道州制については「検討中の次期総合政策に盛り込むことになる」とのべ、財政健全化プログラムが行き着く栃木県の未来図が「道州制」であることもはっきりしました。
自民と民主、競い合って「道州制」推進 14日午後、執行部質疑を受けての意見交換で、日本共産党の野村せつ子委員が「道州制を前提にするべきでない」と表明したのにたいし、民主党の佐藤栄委員は「共産党と180度立場が違う」と推進する立場を表明。さらに24日の第3回検討会で民主党として「道州制をめざす」と明記した健全化プログラムへの意見書を提出しました。自民党は29日までに「2017年までに道州制をめざす」とする政権公約を発表、道州制について二大政党が競い合う構図となっています。
市町村合併の検証もなく、道州制とは!!
道州制は県を廃止し、全国を9つほどの州と千ほどの基礎自治体にするもので、さらなる市町村合併が前提です。合併した市ではくらしや福祉の住民負担が急増、合併特例債も「借金を増やしただけ」との声があがっています。自公政権は地方財源をけずり合併に追い込んできましたが、住民に押しつけられた痛みについて検証はありません。全国町村会も「農山村漁村の住民自治は衰退の一途をたどり、ひいては国の崩壊につながる」と道州制に反対を表明。地方自治破壊の道州制の推進は許せません。