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08/10/1 霞ヶ浦導水、灯油購入費助成問題で質問 予算特別委 

 

08/10/1  霞が浦導水、灯油購入費助成問題で質問…予算特別委 

栃木県議会初の予算特別委員会・総括質疑が10月1日開催され、10人の委員が質問しました。日本共産党野村せつ子委員は、15分間にわたり「原油高騰対策・灯油購入費助成」と「霞が浦導水事業の那珂川取水口建設問題」について質問し、知事の考えをただしました。野村節子の質問内容はつぎのとおりです。

 



①生活困窮者などへの灯油購入等補助は急務、県が市・町支援を
 【野村節子委員】昨年来のガソリン、灯油、食料品などの高騰で県民の家計は火の車だ。国民の57%が「生活が苦しい」と感じていると、国の「2007年国民生活基礎調査」で示された。この数値は6年連続で上昇、とくに生活保護や住民税非課税世帯、母子家庭などは、大変な思いをしておられる。私は、宇都宮市内の生活保護世帯を訪ね、暮らし向きを伺った。高齢の夫婦2人暮らしのお宅では、収入は国民年金と生活保護費で月々11万円、その大半は家賃、水光熱費などで消え、食費は1日、1人800円で三食まかなう計算だ。洋服などはもう何年も買ったことがない。嗜好品もほとんど買わない。暖房はストーブとこたつだが、昼間はつけない。夜は暖房なしで寝るそうだ。別の一人暮らしの高齢者は、「長年の習慣」と言っておられたが、食事は1日2食。風呂はディーサービスで入るだけ。暖房費や食費を切り詰める以外、ほかに節約しようがないとのことだつた。冬を前にして、せめて灯油代などの支援が必要ではないか。しかし、補正予算案にはこのような対策はない。知事は生活困窮者への支援は必要ないと考えるのか。市町村が生活困窮者などに灯油購入費などを助成すると、国の原油高騰緊急対策で、特別交付税措置がうけられる。昨年は県内31市町のうち、24市町がとりくんだ。今年こそ、県が支援して、県内すべての市・町が生活困窮者への灯油購入費補助や、日光市のような福祉施設の送迎サービスのガソリン代助成なども行えるようにすべきだと考えるが、知事の見解を伺う。

格差の底辺で苦しんでいる人に温かい県政を

福田知事は、「ガソリンや灯油は下がる方向」などと答弁、「制度の実施はそれぞれの市町が判断すること」として県の助成を否定しました。野村節子委員は灯油の価格が、18㍑店頭価格で2256円で去年の10月の1435円から、821円もあがっていると指摘。さらに低所得者ほど家の中の室温が低いという統計を示し、家計の経済状態が、室温にも格差を生んでいると告発しました。さらに、「ぎりぎりの食事に加え、家の中も寒い、そのため風邪や肺炎にかかったりしたら、いのちにかかわります。自治体にとっても医療扶助費が増えることになります。国が不十分ながらも支援制度をつくったんですから、それを県内全てに行き渡るようにするのが県の仕事ではありませんか」と実施を迫り、知事に「格差の底辺で苦しんでいる人に温かい県政を」と要望しました。

②霞ヶ浦導水事業について  
【野村節子委員】 いま、霞ヶ浦導水事業について、「那珂川の生態系を守れ」「天然アユ資源を守れ」との声が、漁協関係者のみならず、県民世論となっている。那珂川の下流に取水口を作り水を吸い上げるさい、卵からふ化したばかりのアユやウグイの稚魚などが吸い込まれると、那珂川関係漁協が工事差し止めの仮処分を申請した。日本共産党としては、昨年11月5日、知事に、那珂川取水口建設の中止を求めるよう、申し入れた。私がこの事業の一番の問題点だと思うのは、利根川と那珂川という生態系の違う川の水を、霞が浦をはさんで融通するという、自然の川のあり方を無視した計画だからだ。那珂川の水を毎秒15トン取って、汚染が著しい霞ヶ浦に流す。渇水時には霞ヶ浦の水を毎秒11トン、那珂川に流すというものです。こういうことをやれば、那珂川の生態系、環境が破壊されると専門家も指摘している。知事は、国の直轄事業であること、本県は利水にも、治水にも関係していないことなどから、意見を述べる立場にない」との姿勢をとり続けているが、それで那珂川の天然アユ資源や生態系を守る県の責任が果たせると考えているのか。本県のみならず日本の宝である那珂川を守るために、県として、明確に事業に「反対」する意思表示をすべきではないか。また今後の対策として、「霞ヶ浦導水事業対策 庁内連絡会議」を設置し、「国が行う調査の研究・検討を進める」とのことだが、国交省の検討会は、「魚類の吸い込み調査」のための検討会で、8月7日の第三回検討会では、漁協などが要求した那珂川河口域全体の環境調査を「今後の検討課題」と先送りしてしまった。私は、国に、河口域全体がどのような影響をうけるのか、専門的な調査を要求すべきだと思うが、知事の考えはどうか

国に追随、知事として責任ある態度示さず

知事は、「庁内連絡会で国の調査結果を検討する」との従来の答弁をくり返し、河口域調査の要求についても明言しようとせず、責任ある回答をさけました。野村節子委員は 国の「魚類吸い込み防止対策効果調査」は、2009年度中に取水口を完成させ、2010年度初めから「現地で実物大の取水口をつくって通水試験を実施」するもので、取水口ありきの調査だと指摘。川を下る魚類にも遡上する魚類にも影響がでること、また那珂川に生育する絶滅危惧種にも影響が出たら取り返しがつかないとのべました。河口域はいまでも相当な有機物が堆積しており、ハゼも住めないともいわれています。野村委員は、取水によって流量が減り、塩水があがって被害を生じる「塩水くさび」が起きるとの専門家の指摘を紹介、県として国に河口域の現状調査を求めるよう強く要望しました。

質問を終わって…15分という時間はほんとにあっという間で、前提となる事実関係を話すだけで大半がなくなる。それを話さなければ県民のみなさんには何の話かさっぱりわからないことになりかねません。少数会派への質疑の保障など改善を求めていきたい。灯油購入助成について、知事は「市町が判断すること」とのべましたが、これは総務省の言い方そっくりです。あなたは国の役人かといいたい。霞が浦導水事業についても、誰に遠慮しているのか、県政を預かる知事として県民の宝を守る意識も希薄も感じられませんでした。霞ヶ浦導水事業はまさにいまが正念場。今後も徹底して追及していきます。