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08/8/9 ナガサキを撮った米軍人

2008/8/9                 ナガサキ原爆投下の日。7日夜のNHKスペシャルを見て、原爆の悲惨さ、投下への怒りとともに私は人間のすばらしさを感じて涙があふれた。原爆投下後のナガサキの市民を撮影した退役した米軍人のジョー・オダネル氏の生き方を追ったドキュメントである。真珠湾攻撃で日本人への憎しみをもって軍人となり、日本人を殺すことに生き甲斐を感じていた彼が軍の任務で原爆で破壊されたナガサキを撮影するうち、市民や子どもたちの悲惨な姿に衝撃を受け、密かにその姿を撮影する。帰国後もナガサキで見た風景にさいなまれ、43年間その写真を封印しつづけてきた。    

 



 しかしソ連とアメリカの核開発競争が激化する中、核兵器のおそろしさを世に伝えなければと封印を解き、写真の公開に踏みきる。原爆投下は正しかったという世論が大勢を占めるアメリカで、オダネル氏は痛烈なバッシングを受け、妻は彼の元を去り、そのうえ原爆投下後一ヶ月のナガサキを歩き回ったため、放射能に汚染され、皮膚がんで25回も手術したという。軍は、放射能について兵士に何も知らせrず、任務に当たらせていたのだ。それでもオダネル氏は自身が見たナガサキの実相をアメリカ社会に知らせようと活動し続けた。原爆投下は間違いだったと。壮絶な人生である。そこまで彼を駆り立てたナガサキの被爆者の姿とは、背中一面焼けただれた少年、死んだ弟を背負い火葬の順番待ちをする子ども…。人間が使ってはいけない兵器であることを証明していた。オダネル氏は日本への憎しみをすて、原爆投下の過ちを告発することに人生を捧げた。それが人類を救う道だと確信したからだと思う。人間は事実を知ることで変わる。オダネル氏の息子も父の思いを知り、その写真を世界に知らせる活動にとりくんでいる。人間の可能性と「事実」の力をあらため感じた。「原爆投下はしょうがなかった」と発言した日本の元防衛庁長官に、この番組を見てもらいたいと思った。そして原爆症認定訴訟に十連敗しても認定基準の見直しをしようとしない福田首相、舛添厚労相にも。