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2007年12月定例会(第292回)

2007年12月  第292回定例会(12月5日本会議)
日本共産党野村せつ子県議の主張①
    
◆【06年度一般会計・企業局会計決算に対する反対討論】     
私 は日本共産党を代表し、認定第2号から第6号「公営企業会計決算」、認定追第1号「歳入歳出決算」に反対の立場から意見を述べます。まず、公営企業会計に ついてですが、どの公営企業も可能な限り利益をあげ、あるいは損失を少なくするために努力された結果だと思います。しかし黒字の電気事業、水道事業の利益 を赤字の用地造成事業会計に貸し付けたことは容認できません。水道会計の純利益は9億円を超えており、資本的収支の不足をはるかに上回る「もうけ」です。 それが7億円も他会計に貸し付けられたのです。
水道事業の最終的なユーザーは県民です。利益は水道料を払っている県民に還元するのが筋はありませんか。宇都宮市などに供給されている鬼怒水道の料金 は、19年からl立法㍍あたり36円69銭下がりましたが、市民はまだまだ高いと嘆いています。北那須水道は3年前に下げられたきりです。那須塩原市では 有収率の改ざんという残念な事件が発覚しましたが、背景には老朽化した石綿配管の問題がありました。高い利益がありながら、供給先の市町や県民に還元しな いのは許されません。思いきった料金改定を行うよう求めます。
「工業用」水道事業は、川治ダムによる開発水量の半分以上、供給先がなく、一般会計から1億円弱で買い取っています。そもそもの水需要計画に問題が あったのではないでしょうか。抜本的な見直しを求めます。用地造成事業は、11年度から欠損が続き、16年からは一般会計から補てんしています。18年度 は、水道、電気事業からの一時借り入れだけでなく一般会計から42億円余がつぎ込まれました。財政難のなか、このまま一般会計から補てんし続けることに県 民の理解を得られるでしょうか。事業のあり方を見直すべきです。
施設管理事業のうち、県営ゴルフ場についても利用者増が見込めないまま9年間も損失が増え続けてきたことを勘案すると、事業中止にふみきるときだと思います。以上の理由から認定できません。
つぎに一般会計決算ですが、18年度は、「とちぎ元気プラン」と「行財政改革大綱」の初年度でした。子ども医療費助成の拡充や子ども医療センターの整備 などはおおいに評価しますが、同時に子ども医療費助成に自己負担を導入したり、「効率化」の名で福祉施設の民営化や民間保育所の県単補助事業の削減など県 民サービスを削ったことは容認できません。
また県民から異論が出ていた開発にも支出されました。新交通システムや馬頭最終処分場建設、県土60分構想の道路建設や、湯西川、南摩など「ムダなダ ム」も見直しはありませんでした。その上に、総予算550億円の新庁舎整備事業の大半にあたる295億円が投じられたわけです。これだけの建設事業が行わ れたのですから県債が膨らむのは当然ではないでしょうか。知事は18年度予算編成にあたって、「将来世代に重い負担を残さないよう県債発行額を抑制する」 と表明しましたが矛盾する結果です。借金も県民の願いにこたえるためならありうる選択ですが、真に県民の目線にたった「選択と集中」の結果とは思えないの です。よって決算を可とすることはできません。以上、反対の立場から意見を述べ、討論を終わります。
 
◆「地方税財源の充実・強化を求める意見書」採択への反対討論      
日 本共産党を代表し、議第一号、「地方税財源の充実・強化を求める意見書」に反対の立場から討論します。 小泉内閣から福田内閣にいたる自民・公明政権は、 「三位一体の改革」の名で、地方交付税を5兆1千億円も削り、地方を痛めつけてきました。私は政府与党の地方財源切り捨て政策が地方を圧迫し、住民サービ ス切り捨てへと向かわせていることにいかりを禁じ得ません。日本共産党は党を上げて地方交付税を元に戻すよう求めてきたところです。
この間、財務省と総務省が、それぞれ地方法人二税の再配分や税源交換を提案してきましたが、そもそも地方税が地方自治体の歳入の37%にすぎないのです から、交付税の復元なくして格差是正ははかれません。いずれの案も国の責任を棚上げし、あいかわらず地方と庶民に痛みをしわ寄せするものでしかありませ ん。そして自公政権がさらに交付税本体を削ろうとしていることは言語道断です。
財源保障・調整機能をもつ交付税の強化こそ格差是正の決め手であり、本筋です。この立場にたって政府に強く復元を求めていくことがいまほど重要なときはないのではないでしょうか。
ところが本意見書は、交付税の復元を求めつつも本旨は「税体系の見直し」すなわち、「地方消費税の充実を機軸とした国と地方の税源配分の見直し」に置かれています。
これは第1に、消費税の増税に道を開くことになるので反対です。直接増税せよと書いてなくても、この問題は「税配分の見直し」だけですむ話ではありません。
昨日の報道によると、自民党税制調査会は3日、消費税を将来引き上げる時期を念頭に地方消費税の拡充をめざす方針を来年度税制大綱に明記する方向を固め たそうです。「地方消費税の拡充」と「増税」は不可分だということがわかります。11月13日に開かれた全国知事会でも徳島県知事が、法人二税と消費税の 「税源交換」に賛成の立場から、『消費税をのばし、法人税を下げるのが世界の税制の潮流だ』、いまが消費税率をあげて地方分を増やすチャンスだと発言した ことが報道されております。
このように政府与党からも地方からも消費税増税の流れがつくられようとしているときに、「地方消費税の充実」で税源確保を図れということは、増税の道ならしに他ならないのであります。
第2に、地方消費税の充実による格差是正は、全国知事会や地方公共六団体の間でも意見が分かれているからです。政府に交付税削減政策を転換させるには、元に戻せという一致点で地方が一丸となって迫ることが大切ではないでしょうか。
以上の理由から、意見書の採択は見送るべきだとの意見を表明し、討論を終わります。
2007年12月  第292回定例会 (12月20日本会議)
日本共産党野村せつ子県議の主張②
 
●林務事務所統廃合等3議案への反対討論
●「後期高齢者医療費制度の中止・撤回の意見書提出を求める陳情」の不採択への反対討論  ●「道路特定財源の見直しに関する意見書」の採択にたいする反対討論に対する反対討論      
 ◆林務事務所統廃合等3議案に対する反対討論    
 私は日本共産党を代表し、議案第2号、第5号、第11号の三つの議案の可決に反対する立場で討論します。
まず、第2号ですが、これは昨年6月に国会を通過した公益法人制度改革三法による条例です。これまでの所管省庁別の許可制を廃止し、県に「公益認定等審 議会」を設置し、社団法人と財団法人のうち、公益性の高い法人だけを認定して税制の優遇を与えるものです。認定されなくなった法人は税制優遇がなくなるた め、民間の非営利法人の活動が抑制されるおそれがあります。こうした問題がある法律施行の条例は賛成できません。
第5号議案ですが、現在7カ所の林務事務所と5カ所の健康福祉センター環境部を、環境森林事務所4カ所、森林管理事務所1カ所、環境管理事務所1カ所に統廃合するものです。
反対する第1の理由は、統廃合にあたって、地元自治体や森林組合、林業農家などの声を十分反映しているか疑問だからです。鹿沼市議会からは鹿沼林務事務 所および県西健康福祉センター環境部の鹿沼市存続を求める意見書が知事宛に提出されています。また那須烏山市でも烏山事務所をなくすことに市長が反対の立 場を表明したと聞いています。林業関係者の間では、「森林環境税ができるというのに、事務所をなくしてどうやって新しい制度を林業農家に周知していくのか 疑問だ」「統廃合で広大な地域を管轄することになれば、コミュニケーションもとりづらくなる。」という声も聞いています。存続を求める地元の声を尊重すべ きではないでしょうか。
第2は、林業農家にとって身近な相談相手である林務事務所が遠くなり、経営意欲の後退につながることを懸念するからです。私は、2001年1月、大雪で 八溝杉が大きな被害を受けたとき、当該地域の森林組合や林務事務所を訪ね、雪の重みでアーチを描くようにしなった杉林を視察させていただきました。そこで 林務事務所と森林組合が協力して、困難に負けずに林業再生をめざしてがんばっておられる姿を目の当たりにしました。今日、森林の持つ公益的機能の面ばかり が強調され、森林環境税の導入に結びついた経緯がありますが、林業農家の経営意欲を引き出し、支援する体制を弱めてしまったら、奥山の森林整備にいくら税 金を投入しても足りなくなるのでないでしょうか。一方で県民に新たな増税してまで森づくりを進める大号令をかけ、一方で現場での指導と援助を担ってきた林 務事務所を統廃合する、矛盾するのではないでしょうか。一定の見直しをはかるとしても、統廃合計画は再検討すべきだと考えますので、第5号議案の可決に反 対であります。
第11号議案は、心身障害者扶養共済の掛け金などを改定するものです。親亡き後の将来を案じ、生活費の足しにわずかな年金でも残してやりたいと、掛け金 を積んでこられた親御さんの思いを踏みにじるように、自立支援法が強行されました。わずか2万円の年金さえ手元からなくなってしまうような負担増が障害者 に押しつけられました。そのうえ、毎月の共済掛け金を最大で2100円、1.6倍、も引き上げるというのが今回の改定です。大変な上げ幅であり、容認でき ません。全国一律の制度改定であっても、せめて県独自の緩和策をセットにして施行する配慮が必要だと考えますので、本議案には反対します。以上、三議案に ついて、反対の立場から意見を述べ、私の討論を終わります。
◆「後期高齢者医療費制度の中止・撤回の意見書提出を求める陳情」不採択への反対討論
 受 理番号17番「後期高齢者医療費制度の中止・撤回の意見書提出を求める陳情」が不採択とされたことに反対する意見を述べます。後期高齢者医療制度とは、こ れまで家族に扶養されていた人も含め75歳以上の高齢者だけの新たな保険制度をつくり、死ぬまで保険料を納めさせる制度です。保険料は1万5千円以上年金 を受け取っている人は介護保険同様、年金から天引きされます。本県の保険料は平均月額5800円ですが、2年ごとに改定され、後期高齢者人口が増加するに つれ自動的に引き上げられるしくみです。したがって全国平均より安くても将来の値上げは確実です。現行制度では、75歳以上の高齢者は被爆者や障害者同 様、保険証取り上げが禁止されていますが、新しい制度では、滞納すると保険証は取り上げられ、医者にかかれなくなります。高齢者本人が払えなければ家族が 負担するか、医者に行かないか、どちらかであります。こんなひどい制度があっていいのでしょうか。この制度の中身を知った高齢者は、「早く死んだ方がいい ということだね」と嘆いています。国民から吹き出したいかりの前に、自民・公明政府与党は、実施時期を1年程度延期する、などの一部凍結を言い出しました が、これは実施の先送りでしかなく、ごまかしにすぎません。この制度が実施されたら、どれだけの患者やその家族の負担増になるか、そしてどれだけの医療機 関への受診抑制になるか、はかりしれません。だからこそ栃木県内でも、批判の声が広がっているのです。
こ の陳情の不採択を決めた12月13日の生活保健福祉常任委員会の前日、12日に栃木県医師会や連合栃木、PTA連合会など幅広い団体が集まって、「国民の 医療を守る栃木県民集会」が開催されました。「患者の負担増反対」などをかかげた決議が議会にも届きました。この内容に反対の議員はおそらくいらっしゃら ないでしょう。しかし、「患者の負担増」という点で、いままさに問われているのがこの後期高齢者医療制度です。政府与党が究極の患者負担増政策を押しつけ ようとしているときに、総論賛成、各論反対のような対応で、どうして県民の付託に応えることができるでしょうか。この陳情は採択すべきであり、不採択に反 対いたします。

◆「道路特定財源の見直しに関する意見書」の採択にたいする反対討論
議 第2号、「道路特定財源の見直しに関する意見書」の提出に反対の立場から討論します。道路特定財源の関係諸税の暫定税率園長この制度は半世紀前に国道、県 道などの舗装率が5パーセント程度だった時代に作られたもので、舗装率が97%にまで達したいま、制度存続の理由はないと考えます。かつて小泉内閣が一般 財源化を公約したのは、税金の無駄遣いに対する国民の批判があってのことでした。しかし、小泉内閣も安倍内閣も具体化を先送りし、制度を温存してきまし た。今回の「見直し」案は、暫定税率の十年間延長、十年間の道路整備費として59兆円確保するもので、制度の恒久化につながっていくものです。また道路特 定財源の「余剰分」を「一般財源化」するといいますが、これも、道路に目いっぱい使って余った分だけ『一般財源化』するということで、本来の一般財源化と はいえません。意見書の一項目は「当面」と期限が曖昧な表現ながら暫定税率の延長を求め、結論は政府与党提出の関連法案を速やかに成立させることにあるの で賛成できません。道路特定財源はすみやかに一般財源化し、地方の裁量で、自由に使える財源とし、社会保障にも、必要な道路建設にもあてることができる財 源とすべきというのが日本共産党の主張です。二項目については異議はありません。以上をもって討論を終わります。