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2007年9月定例会(第291回)

栃木県議会
日本共産党の活動と主張 NO.2      
2007年11月号
【第291回9月定例会特集】より         
【第291回定例会の概要】
○会期 17日間
9月17日~10月5日
○一般会計補正予算、条例、請願・陳情、意見書などの審議
○公安委員会委員、土地収容委員会委員の人事
○決算特別委員会の設置
53億円余の補正予算を可決
県債残高は1兆47億に増加

9 月17日から17日間の会期で開催された栃木県議会第291回定例会は、53億円余の一般会計補正予算などを可決し、10月5日閉会しました。あらたに盛 り込まれた事業としては、市町村が行う病児・病後児保育(保育中に体調不良となった子を自園で預かる)事業への補助(1666万円)、県内の公的病院で働 く産科・小児科医確保のため医学生に修学資金を貸与する事業、イチゴを対象に安全な生産工程の管理(GAP)確立を推進するモデル事業(725万円)など があります。また県単土木事業費などが47億円余り盛り込まれたため、県債はあらたに10.7億円増加し、残高は1兆47億円に増えました。日本共産党の 野村節子県議は、18議案中「一般会計補正予算」と「用地造成事業会計補正予算」の2議案と、請願・陳情2件の不採択に反対しました。開会日に採決された 公安委員会委員の人事案件にも反対しました。
  ~日本共産党・野村節子県議の反対討論から~
◆土木優先、財政健全化への姿勢後退
「一 般会計補正予算」の反対討論で、野村節子県議は「当初予算では県債残高を11億円削減する見込みだった。県債を10億も積み増したため、県債残高の削減は 数千万円にとどまった」「補正予算の大部分が公共事業費で、再び県土整備部予算が保健福祉部予算を上回わる結果になった」と指摘。当初予算案発表時には、 一般新聞も「県政史上初めて土木予算が保健福祉予算を下回った」「財政健全化に向かう栃木県の決意の象徴」(2月10日付「下野」)と報道しており、この 「期待」は裏切られたと言えます。野村節子県議は『財政健全化をめざすならば当初予算の段階から補正の必要が生じることを想定して県民の目線での「選択と 集中」を行うべき』と指摘しました。当初予算には「県土60分構想」による大型道路建設やLRT推進の調査費の大幅増額などが盛り込まれていました。
◆市町村合併の旗振りやめよ
「市 町村合併推進支援事業費」が計上されましたが、本来合併するかしないか、どこと合併するかは住民の自主的な選択によるべきです。野村節子県議は、県が国い いなりで合併の枠組みをつくって助成する「合併推進支援事業費」制度の問題点を指摘しました。昨年合併した日光市では、観光協会の補助金は大幅カット、霊 柩車使用補助金も全額廃止、旧足尾町ではし尿処理の負担額が5倍から10倍に引き上げられ、さらに国保税を来春、三割もの大幅値上げする税額改正が12月 議会に提出されようとしています。
◆未利用地の利活用は県民の声を聞いて
県 有未利用地の一つ、新競馬場予定地を産業団地として造成する計画について、野村節子県議は再検討を求めました。既存の県内産業団地の分譲率は平均59%に とどまっており、壬生町・栃木市の惣社東団地では46.2%、鹿沼市・西方町の宇都宮西中核団地で67.6%しか分譲されていません。野村県議は既存の団 地の分譲への影響を指摘するとともに、地元町議会から有効活用を求める要望書が提出されていることは尊重すべきだが、決定にいたる過程でさらに広く県民や 各界の有識者などの意見をくみ上げる手順を踏んでも遅くなかったのではないかと指摘、「県有地は県民全体の財産であり、その利活用についてはパブリックコ メントで県民の意見を聞く機会を保障すべき」と主張しました。        
政務調査費透明化へ、大きく前進 「1円から領収書添付」「全面公開」で合意
栃 木県議会の「議会活性化検討会」(青木克明会長)は、10月3日開催された会議で政務調査費見直しなどについて協議し、全会派一致で「1円から領収書を添 付」「全面公開」する方向を固めました。実施時期は、「できるだけ早く」としており、来年4月を目途に準備を進めることにしています。また、現行の「栃木 県政務調査費の交付に関する条例施行規程」を見直し、長野県議会の「政務調査費マニュアル」などを参考に全会派共通の使途基準を定めたマニュアルを作成す るため、ワーキングチームを設置することを確認しました。野村節子県議は「県民の運動と世論で全面公開の重い扉がようやく開きました。県民要求実現へ大き な一歩です。今後ワーキングチームで作成する使途基準マニュアルには、有識者や県民の声がしっかり反映できるよう尽力し、県民の期待にこたえられるものに 仕上げたい」と話していました。
そのほか、予算特別委員会の設置(定数25人)や決算特別委員会の見直しなどもほぼ意見がまとまりました。費用弁償の見直し問題は次回以降、協議する予定です。
民意が届かない! 県議会
生活できる賃金”求める請願 不採択
  経済企業常任委員会で継続審議となっていた「最低賃金の大幅引き上げを求める請願」は、請願提出後、新たな地域別最低賃金額が決定し、栃木県は14円アッ プの671円になったことをもって不採択にされました。この上げ幅は全国平均並ですが、改定された最低賃金の全国平均は687円で栃木県とはまだ16円も の格差があります。いずれにしてもこの程度の額では月額11万円程度にしかならず生活できないのが実態です。使用者側の抵抗もあるなかで2桁の引き上げは 国民的なたたかいの成果ですが、これをもって大幅引き上げが実現したとはいえません。野村節子県議は願意の重要性をうけとめ、請願を採択すべきと主張しま した。
“安心できる年金”の陳情 不採択
年 金給付を抜本的に改善する「最低保障年金制度実現求める陳情」が不採択にされました。国民年金受給者の平均月額は4万6千円でとても生活できず、生活保護 に頼らざるを得ない高齢者が増えています。県内の生活保護受給者13460人(19年7月1日現在)のうち65歳以上が4割弱の5226人に達し。自治体 の保護費も重い負担となっています。野村節子県議は反対討論のなかで「安心できる年金制度にすることは参院選で示された国民の民意。この切実な要求に背を 向ける理由がいったいどこにあるのか」と批判しました。県民ネットは「継続審議」を主張し退席しました。 
那珂川の清流と天然アユを守れ! 霞ヶ浦導水事業は中止を
 日 本共産党の野村節子県議は、10月23日、茨城県の霞ヶ浦導水事業・那珂川取水口の現地調査を行いました。県内関係市町の議員も参加しました。国土交通省 那珂川機場で国交省担当者から説明を受けたあと、取水口建設予定地付近を視察しました。霞ヶ浦導水事業は、霞ヶ浦の浄化を目的に「利根川~霞ヶ浦」「霞ヶ 浦~那珂川」を地下導水管で結び水を融通させる計画で、総事業費は1,900億円。那珂川取水口からの取水で、卵からかえった直後の仔アユが海にくだる途 中で吸い込まれ、栃木県に遡上する天然アユ漁への被害が懸念されています。また「飲用水に適さないレベル」とされる汚染の進んだ霞ヶ浦の水を渇水期に那珂 川に流す計画で、環境汚染や外来魚の流入など那珂川の生態系破壊が心配されます。茨城・栃木両県の漁業関係者らも取水口建設反対の声明を発表し、工事中止 を訴えています。 この日の調査で国交省担当者は「漁業関係者にはメリットは何もない」と認めたものの「仔アユのくだる時期、時間帯は取水制限するなどし て漁業関係者の理解を得たい」などと述べました。国交省は11月にも工事着工(08年4月より)を公示する計画です。すでに完成した「利根川~霞ヶ浦」の 導水管は、試験通水で利根川のシジミに壊滅的な被害が出たため、通水がストップされています。また「霞ヶ浦~那珂川」導水管の土浦市~石岡市間は地上権者 の承諾も得られておらず着工の見込みがないこともわかりました。野村県議は「栃木県はH22年までの5カ年で天然アユの漁獲を20万尾から200万尾に 10倍加させる計画で、取水口建設は絶対に許せません。上流にダムがない那珂川は四万十川に匹敵すると言われており、那珂川の生態系を守るために、栃木県 から反対の声を広げたい」と話していました。