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2007年6月定例会(第290回)

栃木県議会
日本共産党の活動と主張 NO.1      
2007年7・8月合併号
【第290回6月定例会特集】より         

  討論にたった野村節子県議
県民税均等割に700円上乗せ課税
「森づくり県民税」条例を可決、日本共産党は反対

  第290回定例が6月26日閉会し、知事提案の「とちぎの元気な森づくり県民税制定条例」(森林環境税)など19議案を可決しました。同条例には自民党、 公明・新政クラブ、無所属県民クラブが賛成、日本共産党と県民ネット21は反対しました。日本共産党はその他8つの議案に反対しました。日本共産党を代表 して討論を行った野村県議は、森づくりの財源を県民税均等割に求めることに問題があるとして、同議案に反対する意見を述べました。県民ネットは、「県民の 理解を得るには時期尚早」として反対の立場から討論を行いました。自民党と公明・新政クラブが賛成の立場から討論しました。
自民、公明ク、ネット、無所属の各派
県民の切実な願いに背を向け、請願・陳情4件を不採択に

6月定例会には、8つの請願・陳情が上程されました。そのうち、日本共産党は「小・中・高校での少人数学級実現と私学助成の充実を求める請願」「森づく り県民税の導入に関する請願」など3つの請願の紹介議員になり、「医師・看護師不足対策の国への意見書提出の陳情」「子ども医療費無料の制度を国が創設す ることを求める意見書提出の陳情」など4つの陳情の委員会付託を要求しました。(一人でも委員会付託を要求すると、陳情も請願と同じ扱いになります)しか し、委員会で自民、公明・新政クラブ、県民ネット21、無所属県民クラブがそろって不採択を主張、これら県民の切実な要望に背を向けました。野村節子県議 は、本会議で不採択に反対する討論を行いました。「栃木県最低賃金の大幅引き上げを求める請願」は、野村議員が採択を主張しましたが継続審議となり、議会 運営委員会に付託された「政務調査費見直しに関する陳情」「議員日当廃止に関する陳情」は、議会活性化検討会の議題になったため、継続審議になりました。
 
活動紹介【07年6月】 
◆足利・松田町の採石場の猛毒産廃不法投棄問題
  日本共産党が03年から足かけ4年、取り組んできた問題です。採石場に猛毒の産廃が不法投棄され、掘削した人たち数人が吹き出したガスで中毒にかかったこ とから、6月7日、県に掘削調査などの申し入れを行いました。県の担当各課や、所有者、地元住民などからの聞き取り調査を断続的に実施してきました。県は 6月27日に、掘削調査の前提となる事前調査を実施し、日本共産党から野村県議、尾関栄子足利市議らが立ち会いました。◆宝井団地のアスベスト施設撤去について
 宇都宮市宝井団地自治会が所有する施設にアスベストが使用されていることがわかり、同自治会役員会が開発した県住宅供給公社に撤去を求めている問題で、6月21日、野村県議は自治会と公社、県住宅課との話し合いに同席しました。 
◆雀宮地域の東京街道(国道4号)・安塚街道入口交差点の渋滞解消へ
宇 都宮市雀宮の4号線沿いで自営業を営む住民の相談を受け、6月1日と8日、県土整備部道路建設課、都市計画課などから拡幅計画の進ちょく状況などを聞きま した。東京街道は、現在川田入り口付近まで拡幅工事中で、南に向かって進める予定です。4号線の雀宮地域の拡幅はまだ先になりますが、安塚街道との交差点 付近は渋滞がひどいことから優先的に右折レーン設置に着手する見込みです。国道と県道(安塚街道)、市道(交差点東側)の三者協議が今年中には始まる見通 しです。
(※県は6月14日の佐藤栄議員の質問への回答で安塚街道拡幅をすすめる考えを示しました)
野村県議は県に「渋滞解消は住民の要求ですが、同時に土地提供を余儀なくされ商売が続けられなくなる方が出る可能性もある。また雀宮中央小学校の通学路 なので、拡幅によって通行車両が増え、流れが良くなればスピードが出て交通事故の不安も増加する。十分な配慮が必要」と指摘しました。
第290回県議会定例会最終日の6月26日、日本共産党の野村節子県議が行った議案と請願・陳情案件に対する反対討論は以下の通りです。
【資料① 議案への反対討論】
私は、日本共産党を代表し、第1号、3号、5号、6号、9号、10号議案と、第19号議案 専決処分の81号、85号、141号について、反対討論を行 います。日本共産党は議会では1人会派ですが、私は野党の議席を求める多くの県民のみなさまに推され、いま、ここに立たせていただいております。県民の切 実なくらしの声、県政への願いを代弁する立場から、意見をのべます。
■森づくり県民税について
給与所得100万円でも課税、92万県民が負担増に まず、第1号「森づくり県民税」についてですが、財源を、県民税均等割の課税に求めることに反対で す。その理由は、第一に、格差と貧困が広がるなか、年700円の負担増は決して軽くないからです。「低所得者に配慮している」といいますが、その範囲はき わめて狭く、生活保護受給者や年収125万円以下の障害者、母子家庭などと、市や町が定める非課税者に限られています。給与所得者の場合、年収100万円 程度で、課税対象です。年金所得者だと150万円程度になります。県民92万人が負担増になるのです。いま、働いても年収200万円以下の収入しか得られ ない「ワーキングプアー」が大問題になっていますが、そういう人々にも課税する。まして、自民・公明政権による定率減税廃止で、住民税が昨年、今年と二年 連続してはね上がり、県民が悲鳴をあげているときに、来年また県民税均等割を1.7倍にするとは、あまりにも、県民生活への配慮を欠くと言わざるを得ませ ん。
第2に、真に必要な予算は一般会計のなかで拡充するべきです。そのためにも、「南摩ダム」や「県土60分構想」など大型開発の見直し、林務においては 「ふるさと林道」などの再精査も必要です。公共事業入札制度も改善の余地があります。そのうえで不足を補うとすれば、強制力の働かない方法にするべきで す。今日の森林の荒廃を産み出した背景には、政府・自民党の外材依存政策がありました。価格の下落で林家の経営が成り立たず、生産意欲が失われたからで す。この政策の転換なくして、地方や林家の努力は生かされないということも、あわせて指摘するものです。
■その他の議案について
つぎに、第5号、第9号議案は、雇用保険の受給資格を6か月から12か月にひき延ばす「雇用保険法一部改正」を、県職員などに適用するもので、労働者の 権利を縮小することは認められません。つぎに第6号「建築基準法一部改正による手続きの改正」ですが、防災の名の下に、住宅密集地での容積率の特例を認 め、従来の高さ制限、日影規制などの緩和につながるので、賛成できません。つぎに第10号は「犯罪による収益の移転防止にかんする法律」、マネーロンダリ ング取り締りに対応したものですが、この法律は、あいまいな基準で金融機関などに「疑わしい取引」の届け出を強要し、銀行などの膨大な取引情報を捜査機関 の監視下におくという、重大な問題点があり、反対します。
■専決処分の承認について
猟銃所有認めたことが悲惨な事件に…県は控訴せず、反省を
つぎに第19号 専決処分の第81号「県税条例の一部改正」ですが、株の配当や譲渡所得にたいする減税期間の延長が含まれております。庶民に増税が押しつけられているときに、一部の高額所得者を対象にした減税期間の延長は承認できません。
第85号「18年度一般会計補正予算」は、県税の増収にもかかわらず、結果的に県債を大幅に増やすものであり、承認できません。最後に141号「猟銃に よる隣人殺傷裁判の控訴」についてです。私は事件のあと、さつき団地に転居し、ご町内に住んでおります。ご近所を通るたび、被害者の恐怖と無念さを思い、 胸が痛みます。深刻なトラブルになっていたのは警察も承知していたのであり、猟銃許可申請に「熟慮を要す」と異例の意見が付記されたにもかかわらず、銃の 所有を認めた責任は重大です。地裁判決を受け入れるべきであり、控訴は承認できません。以上意見を申しのべ、討論を終わります。
 【資料② 請願・陳情の採択についての討論】
看護師の待遇改善、配置基準見直し求める意見書採択を主張
私は、日本共産党を代表し、請願・陳情案件のうち、受理番号3番、5番、6番、7番を不採択にしたことに反対し、採択を求める立場から討論を行います。 まず、3番「医師・看護師不足対策の国への意見書提出の陳情」についてですが、前議会で、医師・産科医などの不足解消をもとめる意見書を採択したことを もって、この陳情を不採択にしたことはとうてい理解できません。陳情項目3でいう「第6次看護職員受給見通し」は、国が「患者7人に看護師1人」の7対1 の配置基準の実施に踏み出す以前につくられたもので、7対1の配置によって看護師不足となり、病棟閉鎖に追い込まれた病院が続出している現状に対応できま せん。見直しは急務です。看護師不足が過酷な職場環境をつくり、そのために仕事を続けられなくなって、また看護師が減る、という悪循環を絶つためには、陳 情項目4の「夜勤を月8日以内に規制するなどの看護職員確保法の改正」は不可欠の対策です。22日付け下野新聞一面の記事は「県内の看護師養成校、受験者 が激減」「定員割れ ピーク時の7割」と、県保健福祉部の調査結果を報道しております。看護師が高校生の進路として敬遠される実態が考えられるとの指摘 は、待遇改善の緊急性を裏づけております。きわめて時宜を得た陳情であり、採択すべきと考えます。
 いじめ減らすためにも、少人数学級推進を
つぎに、5番「小・中・高での少人数学級実現と私学助成の充実を求める請願」は、子どもたちに豊かな教育を求める父母、教師の願いを反映したものです。 しかし、県が教育予算の拡充に努力していることの評価を持って、請願を不採択にするのは納得できません。いじめ、自殺、学校の荒廃などこどもたちの現状 は、大人の対策を待ってはくれません。ある研究機関が三千人以上の小・中学生を対象におこなった調査によると、うつ病のリスクをもっている小・中学生が 13%もいるという、衝撃的な数値があります。「学校に行っても楽しくない」「生きていてもしかたがない」という思い、ストレスが、いじめに向かわせてい るとの指摘もあります。こどもたちと向き合う教職員のご苦労もまた想像に難くありません。いじめの発生数が依然として全国上位にある栃木県ですが、県教育 委員会は、昨年、前年のいじめの発生数が減少したのは中学校全学年で少人数学級を実施したことも要因の一つとのべております。効果があるとわかっているの なら、一歩ずつでも全学年での少人数学級の実現をめざすべきであり、この請願の採択は県民の願いにかなうものだと思います。
子ども医療費無料化、国の制度に! 県は国を動かす先頭に立て
つぎに6番、「こども医療費無料の制度を国が創設することを求める意見書提出の陳情」ですが、過去に同様の意見書をだしたから、実現の見込みがないから、 などの理由で不採択にするのはあまりに弱腰と言わざるを得ません。栃木県では県も市町も、財政的努力で制度拡充につとめてきました。芳賀町や那須町、上三 川町では中学三年生まで無料になり、大変喜ばれています。いまや全都道府県・市区町村がなんらかの形でこどもの医療費無料化に踏みきっているのですから、 「国の制度」の創設は、全国民的願いです。県と市町村の財政負担を軽減するためにも、全国に先駆けてこの制度を導入したわが県こそ、先頭に立って、国を動 かす役割を担うべきではないでしょうか。採択すべきであります。
7番の「森づくり県民税の導入に関する請願」については、議案の討論で日本共産党として新たな税の創設に反対する意見を述べました。その立場から、この請願の採択を主張し、討論を終わります。